有給のルールちゃんと理解出来ていますか?
曖昧な理解だともしかしたら損しているかもしれませんよ?実際有給を使わず無くなってしまうしている人が大多数います。
総務人事の担当者として、5年間有給処理をしてきた僕が、小学生でも理解出来るように解説します。
用語解説は背景灰色になっていますので、読み飛ばしていただいて構いません。
項目ごとにまとめていますので、目次から知りたい情報へ飛んでいただければと思います。
より詳しく知りたい方は厚生労働省|有給休暇ハンドブックをチェックしてみてください!

ルールを理解して、有給休暇を完全消化しましょう!
Contents
1.有給休暇とは?
有給休暇とは、ざっくり一言で言うと「出勤扱いの休み」です!
休みなんだけれどお給料あげるよー!という事です。
略して「有給」「有休」「年休」なんて呼んだりますね。どれも同じものを指します。
有給には労働基準法という法律で定まった決まりがある。
2.有給付与日数・付与条件(いつからもらえるの?)・バイト、パートの場合
2−1.有給付与日数

要は何日もらえるの?
以下の表、最大で20日の有給が毎年付与されます。
勤続勤務年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
法定最低付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
付与:「付ける」という意味。有給を付ける日数という事。
法定最低日数:法律で決められた最低限の日数。これを下回ると違法という事。
2−2.付与条件(いつからもらえるの?)
条件は2つ
- 6ヶ月の勤務(入社後初年度のみ)
- 8割以上の出勤
入社後6ヶ月で初年度有給が付与されます。
上記の表①0.5年の部分です。付与日数は10日。6ヶ月勤務し、8割以上の出勤をされた場合に付与されます。
8割以上の出勤とは、公休日は含みません。土日休みの方は月から金まで5日出勤されれば10割出勤となります。
2−3.パート・アルバイトの有給
パート・アルバイトの場合は比例付与となります。
週所定日数もしくは年所定日数と勤続年数から割り出すことが出来ます。
有給付与時は実際の勤務日数に応じて付与となり、有給消化時は勤務時間に応じた金額となります。
週所定日数 | 年所定日数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
4日 | 169日-216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121日-168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73日-120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48日-72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
3.有給繰越・最大日数・消滅
実はこの項目が一番勘違いされやすいポイント!
僕が経験上最も質問された回数が多いです。
3−1.有給の繰越
前年度消化しきれなかった分は次年度へ繰越されます。
有給を使わなければ、どんどんと増えていくわけでは無いので注意!
有給の繰越については、労働基準法39条にて時効は2年と定められています。
労働基準法:労働者を守るために制定された法律
3−2.最大日数

まとめて1ヶ月休みたいな!
有給の最大付与日数は20日です。(上記表①参考)
未消化分が繰り越されるため、使わなければ最大で40日の有給日数となります。
3−3.消滅

有給は使わないと無くなっちゃうんだよ!
有給には、法律で定められている通り、労働基準法39条にて時効は2年と定められています。
単に時効は2年と言われてもピンと来ない(というか理解できないのが普通です)と思うので、
表を使い解説します。
就業規則:会社に勤務する従業員のためのルール、従業員なら誰でも見れるところにある。
有給を古いものから使用する場合
勤続年数 | 繰越数 | 付与数 | 有給日数 | 消化数 | 残日数 |
0.5年 | 0 | 10 | 10 | 5 | 5 |
1.5年 | 5 | 11 | 16 | 5 | 11 |
2.5年 | 11 | 12 | 23 | 5 | 18 |
3.5年 | 18 | 14 | 32 | 5 | 27 |
勤続年数により付与された分を繰越数と足すとその年度に消化出来る有給数となります。
繰越数+付与数=有給日数
有給日数から消化日数を引いた数が残日数となります。
有給日数ー消化数=残日数
有給を新しいものから使用する場合
勤続年数 | 繰越数 | 付与数 | 有給日数 | 消化数 | 残日数 |
0.5年 | 0 | 10 | 10 | 5 | 5 |
1.5年 | 5 | 11 | 16 | 5 | 6 |
2.5年 | 6 | 12 | 18 | 5 | 7 |
3.5年 | 7 | 14 | 21 | 5 | 16 |
計算式自体は表②と同じです。
違うのは、有給の使用が新しいものから使用している点です。
新しいものから使用するので、もちろん繰越分は2年という時効により使われなければ消滅となります。
おそらく有給が勝手に減っているという方は会社でこのような方法で計算をしているのでは無いでしょうか?
今一度ご自分の有給日数を確認してみてください。
4.有給申請方法・理由(急な休みでも申請出来る?)
有給申請方法も理由も様々なものがあります。
基本的には会社指示に従ってもらえれば良いと思います。
しかし、会社に相談できない方もいると思いますので、アドバイス程度ですが解説します。
4−1.申請方法
申請は基本的には紙ベースでの申請をしましょう。
口頭で良いと言われる場合もあるかとは思いますが、言った言わないの揉め事になるケースが多いので要注意です!
4−2.申請理由(急な休みは?事後申請は?)
申請理由は基本的になんでもOKです。
会社によって違いがあり、中には理由によって拒否するという会社もあるようです。(完全なる違法ですね)
- 私用(基本これでOK)
- 家族の用事(言いたくないけど私用の理由がダメと言われたらこれ)
- 通院(拒みようが無い理由)
- 休養(休みたい!という気持ちがストレートでGOOD)
- 夏休み・冬休み(ほっこりする理由でGOOD)
- 体調不良(欠勤になるより使えるなら使いましょう)
個人的には、夏休み・冬休みと書かれたのを見たときはかなり笑ってしまいました。

朝起きたら具合悪くて休んだんだけれど有給に出来ない?
体調不良が続くようなら事前申請で有給の申請理由となりますが、急な体調不良での休みはどうでしょうか?
会社によって対応が変わります。法律では、事前申請と決まっているので、会社判断となります。
断られてもいたしかた無しといったところです。そういったときは会社に直接相談してみましょう。
5.有給消化義務化・時季指定・時間単位取得
5−1.有給消化義務化
2019年4月から有給休暇10日付与に対し、5日の消化義務化となりました。
法律の内容について詳しくは解説しませんが、消化義務がなされない場合は会社側に罰金等の処罰がされるとのことで、有給の消化に対して前向きになった会社も多いことでしょう。
5−2.時季指定

好きな時に取れるんじゃないの?
有給の消化は個人が好きな時季に取るのが前提です。
有給を消化しない従業員がいることから、会社側が時季を指定して有給を取らせる必要が出てきました。
年度末には有給消化を促す案内や時季指定をされた方もいるのでは無いでしょうか?

まだまだ有給消化が浸透していないという事ですね。
5−3.時間単位取得
有給は原則1日単位での取得となりますが、36協定の締結により時間単位での取得も可能となっています。
ただし、事務手続きが煩雑になる事が予想されるため、消極的な会社が多いのではないかと思います。
36協定:会社と労働者の間での取り決め(残業など)
6.有給買取は違法?消化中に転職は可能?
6−1.有給の買取
有給の買取は原則違法です。
例外はありますが、適用されないと考えていて問題ありません。
気になる方のために一応、例外を紹介します。
- 法定日数を超える分の有給
- 退職時に消化しきれなかった分の有給
- 時効を迎え消滅してしまう分の有給
いづれもなかなか出会うことの無いケースです。
しいて言えば退職時に消化しきれなかった分の有給、おそらく買い取って欲しいと言っても、買取では無く消化してくれと言われると思います。この辺は参考まで
6−2.消化中に転職
では、消化中に転職先で働き出すことは出来るのでしょうか?
結論!出来ます。しかし条件付きです。
社会保険料徴収の関係から、フルタイムでの勤務は出来ません。
週1〜2回程度のパート・アルバイトとしての勤務なら問題ないでしょう。
7.ポイントおさらい!

かなりざっくりと説明させていただきましたが、中にははじめて知ったルールもあったのでは無いでしょうか?
より詳しく知りたい方は厚生労働省|有給休暇ハンドブックをチェックしてみてください!
もっともっと詳しく知りたい方は、労働基準法をチェックしちゃいましょう!
それでは、最後に重要ポイントをおさらいしましょう。
- 有給とは、法律で定められたものであり、会社でむやみに変更して良いものでは無い
- 例外的に認められるルールもあるので就業規則、有給休暇ハンドブック、労働基準法をチェック
- 申請理由によって受け付けない等は違法である
- パート・アルバイトでも有給は発生する。
- 有給の繰越は2年が時効
- 新しいもの古いものどっちから有給使用になるかは会社でルールを確認
それでは、また〜!
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